代表挨拶

■机上と現場の違い

大学を卒業後、すぐにアトリエ事務所に就職(修行のようなもの)しました。朝から晩を通り越して、朝まで毎日、毎日建築尽くめで働くことができました。主に、大手の会社さんの案件が多く、経験も無いのに、新しい仕事にドンドンチャレンジさせていただきました。

設計(デザイン)から構造まで一連の設計業務を請け負う基礎がそこででき上がりました。
実際に設計し、それが建築現場で監理してみると、現場の職員さんによっておさめ方が違ったり、仕様書に書いてある材料では無いものが納品されているのに、 そのまま使おうとする設備業者が居たり、ビックリすることがたくさんありました。この頃、建築の基礎、施工の詳細を学んだのです。
現場には、いろんな方がいらっしゃいますが、どの段階で、どんな質問を受けてもこちらが自信をもって説明できる知識と経験を得ていれば大丈夫であることも分かりました。
建築デザイナーと称する人には、構造のことや詳細なコスト、職人の技術のことをわからずに設計している人もいますが、私には暴挙としか思えません。
構造・コスト・デザインがバランス良く成立することが、どんな時代になっても良い建築の最低限の条件であると思います。

■お客様に、家を提供するのではなく、幸せになってもらう

アトリエ時代には、企業を相手にした建築が多かったのですが、企業の場合、打合せをする人と実際に使用する人が違うケースが多く、せっかく造った建物がその後、どのように使われ、喜んでいただいているのか、見え難いものでした。

そこで、使っている人の顔が見える住宅建築に興味が惹かれるようになり、住宅会社に勤めるようになりました。
家づくりは非常に、自身の志向に合っており、お客様の想いをドンドン形にし、それが建築され、喜んでいただける顔が見えました。

そして私たち住宅建築・設計に関わる会社が絶対に忘れてはいけない事は「お客様のために本当に良い家を造りたい」という「顧客第一主義」の発想です。
全てがそこに帰結する事業こそ、私の理想です。

家は人生の中でも最も大きな買物のひとつです。
たとえ私たちが年間何百棟の住宅建築に関わろうとも、一棟一棟に込められているお客様の強い思いを、希釈させさせるわけにはいけません。お客様が家に寄せる期待、理想、こだわりを共有し、本当に価値のあるものとして形にするのが私たちの仕事ですから。

そこで、大きく私の心を変化させる出来事がありました。
その会社はある工法に特許を取得しており、その工法にこだわっていました。
自然に工事費も高くつきます。
プランニングは我々建築士と打合せしますが、金額の交渉などについては営業の方がしていました。
家を引渡した後、あるお客様に言われたことがあります。
「田原さんに設計してもらって、素敵な家に住めることは嬉しいんだけど、実はこっち(住宅ローン)が重たくて、趣味だったゴルフもできなくなってしまったり、子どもの塾にも行かせられなくなってしまって・・・。」

確かに、その方の収入にしてみると少しコストをかけ過ぎた家だったのかも知れません。
別にローンが大変で手放すような状況まででは無かった様子でしたが、家はあくまで、その人が幸せに暮らすための器(道具)であると気付かされました。

私たちは、お客様に、家を提供するのではなく、幸せになってもらうのが目的だったのです。

■いい家は、上手に安く建てる。そして、楽しく豊かに生活する

気付いてから早速、依頼のあるお客様毎には、これまで以上に丁寧にお話を伺い、その方がより豊かになるためにはどんな家をいくらで建てるのが妥当なのか深く考え設計するようになりました。
そんなある時、ゼンショーグループさんのお仕事をさせていただく機会に恵まれました。

同グループさんは、品質にこだわった豊富なメニュー、心地よいサービスで、幅広い年齢層を顧客にもつファミリーレストラン。
自慢の料理とドリンクバーが人気の「ココス」、あつあつジューシーなハンバーグと新鮮なサラダバーの「ビッグボーイ」、その他にも「すき屋」、「牛庵」などを経営されていらっしゃいます。
その中でも「ココス」と「ビッグボーイ」の店舗のベースとなるプランを担当させていただくことがありました。
全国に展開する基準となる店舗ですから、良い建築で且つローコストな設計が求められるのです。
その中でのローコストに建築していくノウハウがこれまでの建築にさらに付加されたのでした。

そして、2010年の寅年に、“虎の家”シリーズが完成しました。

「いい家は、上手に安く建てる。そして、楽しく豊かに生活する」
それを実現していくお手伝いが私たちの使命です。

いつでもお気軽に事務所にお越し下さい。
田原虎彦